不動産関連のコラム

家売却時のハウスクリーニングは必要?相場や注意点は?

持ち家を売却するとき、ハウスクリーニングを実施するべきかどうかで悩まれる人が多いです。確かに、ハウスクリーニングを行えば室内の見栄えはよくなり、物件の魅力を高めることが出来るので、買い手が集まりやすく、相場より高値で売却できることもあります。

ただ、日常的にちゃんと掃除をしていて室内の状態が良好であれば、そのメリットは少ないかもしれません。ましてや、その費用を売却価格に上乗せするつもりなら蛇足になりかねません。そのため、物件の状態や相場価格、ハウスクリーニングの費用などをあらかじめ把握したうえで実施すべきかどうか考えることが重要です。

今回は、不動産売却時にハウスクリーニングを実施した方がよいかどうか、ケースごとに解説していきます。

【01】ハウスクリーニングのメリット・デメリットとは?

ハウスクリーニングとは清掃会社が専用の洗剤や資材を使用して行う、住宅内の汚れ全般のクリーニングのことです。日常的な掃除では落とせない汚れも落とすことが出来ます。では、ハウスクリーニングを不動産売却時に実施するメリット・デメリットから説明しましょう。

メリット : 内覧者の購買意欲アップ

ハウスクリーニングの一番のメリットは、内覧者に良い印象を与えることができる点です。買い手が物件を購入する際の判断基準はさまざまですが、多くの人が室内の見た目を気にします。どんなに好立地の物件でも、室内が雑然していたり、不衛生な状態だったりすれば、買い手は購買意欲を失ってしまいます。室内がキレイで良い印象を与えられれば、早く買い手を見つけるのに役立つ場合があるだけでなく、相場価格以上に高く売れることもあるでしょう。

 

デメリット : 「費用対効果」と「売り時」の見極めが必要

一方、ハウスクリーニングを実施するデメリットとしては、費用がかかる点があげられます。具体的な費用相場は後述しますが、面積が広く汚れが多い建物の場合、10万円を超える費用になる可能性もあります。クリーニングにかけた費用以上に物件が高く売れるとは限らないので、費用対効果があるかどうかは不明瞭です。
また、時期や地域によってはハウスクリーニング業者が見つかりにくいケースもあります。不動産売却では売り時とそうでない時期がありますが、手配に時間がかかると、売却のタイミングを逃してしまうリスクもあります。

【ハウスクリーニング業者の繁忙期】
3月~4月にかけて春の引っ越しシーズン
6月~7月にかけてエアコンクリーニングの時期
12月年末の大掃除

 

【02】ハウスクリーニング実施の有無はどう決める?

次に、家の状態によってハウスクリーニングを実施した方がよいか否かの見極め方について、具体例をあげながら解説します。まずは、実施した方が望ましいケースについてですが、以下の3点があげられます。

ハウスクリーニングの実施が望ましいケース
  • 部屋の汚損(※1)が激しい
  • 築年数が古い
  • 空き家の状態が続いている

部屋の汚損が激しければ、内覧に来た人にとって、その印象は大きく下がります。不動産は大きな買い物なので、買い手の多くは慎重になります。内覧の時にマイナス要因となるものは極力少なくすべきです。築年数が古い物件や、空き家の状態が長く続いている物件では、経年劣化が進んでいるので、見た目が悪くなりがちです。こうした物件ではハウスクリーニングを実施して、少しでもキレイな状態にしておくことをおすすめします。
あと、見落とされがちなのが、室内でペットを飼っていた場合や喫煙していた場合です。汚れだけでなく「臭い」のクリーニングにも気を向けましょう。

あと、別料金にはなると思いますが、除草作業をしてくれる業者もあります。実施すれば、家の外観から印象は大きく変わると思います。

※1)汚損(おそん): ものが汚れたり損傷したり、または汚したり損傷させること。損傷の例としては「床・壁・ドアの傷やへこみ」「クロス剥がれ」「ガラス部分のひび割れ」など。損傷の度合いによっては、ハウスクリーニングではなくて、リフォームや修繕での対応が必要です。


ハウスクリーニングを実施しないほうが良いケース

反対にハウスクリーニングを実施しないほうが良いケースとして、以下の3点があげられます。

  • 部屋や庭の清掃が行き届いている
  • 築年数が浅い
  • クリーニングで復旧できないほど劣化が激しい

清掃が行き届いており、ハウスクリーニングを実施する必要がないほど室内や庭がキレイな状態であれば、実施しなくても問題ありません。入居者の利用状況などにもよりますが、一般的に築浅物件の場合、室内が真新しいため、ハウスクリーニングを実施しても費用対効果が低いと考えられます。

また、ハウスクリーニングでは復旧できないほど劣化が激しい物件などでは、クリーニングの効果がほとんど現れない可能性があります。こうした物件ではクリーニングではなく、リフォームや修繕を行ってから売却に出すほうが効果的です。

【03】ハウスクリーニングの費用相場

ハウスクリーニングの金額相場は、対象となる部屋の面積、実施する場所によって異なります。一般的な費用相場を以下のとおりです。

【部屋の間取り別のハウスクリーニング費用相場】
部屋の種類費用相場
1R、1K、1DK20,000円~50,000円
1LDK~2LDK30,000円~70,000円
3LDK~4LDK50,000円~80,000円
5DK~80,0000円~

 

範囲が広ければ多くの人員が必要になり、作業時間もかかるため、費用は高くなります。ただし、室内の汚れ具合などによって清掃方法や必要な人員数が変わるため、費用相場にはバラつきがあります。場所ごとのクリーニング費用の相場は下表のとおりです。

【部屋の場所別のハウスクリーニング費用相場】
部屋の場所費用相場
浴室18,000円~30,000円
キッチン18,000円~26,000円
レンジフード・換気扇16,000円~22,000円
トイレ10,000円~14,000円
洗面所  7,500円~10,000円
エアコン12,000円~30,000円

 

一箇所当たりの費用は上記の通りですが、セットで依頼すればほとんどの場合、費用は割安になるでしょう。ハウスクリーニングは人件費が多くを占めているため、何人で何時間かけて作業するかが金額を決定する重要な要素になるためです。

【04】ハウスクリーニング依頼時の注意点

ハウスクリーニングを依頼する際の主な注意点は3つあります。

  • 汚損状況によって価格差が出る。
  • 依頼する業者や地域によって価格に差が出る。
  • ハウスクリーニングでは落としきれない汚れもある。
汚損状況によって価格差が出る

前述した費用相場は一般的な目安ですが、ハウスクリーニングは室内の汚れの状況によっても金額が異なります。汚れが激しい部屋の場合、作業時間が多くかかため、金額は高めになりますが、反対に汚損度が低ければ安く収まります。

地域や業者毎の価格差。見積もりは複数の業者から取る

地域によって多少の価格差があることも頭に入れておきましょう。ハウスクリーニングは人件費が原価の大部分を占めるので、一般的に「都市部では高く」「地方では安い」傾向にあります。神奈川県は都市部に該当するので、やや高めの水準になりますが、地元密着型のハウスクリーニング業者が多いので、一概にはいえません。
また、依頼する業者によっては相場以上の価格になるケースもあるでしょう。特別な理由がないにもかかわらず、相場を大きく上回る見積もりを提示する業者もあるため、複数の業者から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。

落としきれない汚れもある

最後にハウスクリーニングでは落としきれない汚れがあることも理解しておいてください。特に築年数が古く管理を怠ってきた物件では、長年の汚れが蓄積している可能性があります。こうした物件ではハウスクリーニングよりも、壁紙や床の張替えなどのリフォームを実施したほうが効果が高いと考えられます。

まとめ

ハウスクリーニングを実施して室内や庭をキレイな状態にすれば、買い手に好印象を与えられるため、できれば実施しておきたいところです。特に築古物件や空き家は室内の汚損や劣化が目立つ場合も多いので、実施することをおすすめします。

ただ、正直なところ支出した分の効果が必ず出るとは言えず、物件の状態によっては実施しなくても問題ない場合もあります。不動産売却時のハウスクリーニングをご検討の場合は、あらかじめ物件の状態や地域の相場などをご確認いただくことが大切です。

 

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