不動産関連のコラム

不動産にまつわる落とし穴① ─ 不動産投資・親族間売買

不動産を売買したり、活用したり、所有しているだけでも、思いがけないトラブルに見舞われることがあります。リスクを最小限にするためには、正しい知識を身につけることはもちろん、法改正や市場の変化などにも敏感になり、できる限り広い視野に立つことが最善の対策です。

今回は「不動産にまつわる落とし穴」として2つのリスクをご紹介します。ご参考ください。

【01】不動産投資のリスク

「賃貸物件」や「不動産取引」の数だけ不動産投資があります。不動産投資とは、アパート、マンション、戸建て、駐車場などの不動産を運用したり、売買したりして、その賃料や売却益を得る投資のひとつです。不動産関連の投資は、大きな利益がみこめる分、たくさんのリスクも存在しています。投資のメリットだけに気を取られて、慎重さを欠けば、大きな損害を被ることもあります。
基本的なことではありますが、不動産投資に潜むリスクを以下に4つご紹介します。


空室・家賃滞納のリスク

アパート、マンション、戸建てなどの賃貸経営では毎月安定した家賃収入が魅力ですが、空室が出ると収入減に直結します。特に「戸数の少ないアパート」や「戸建て」の賃貸では、収入がゼロになる確率は高まります。
あと、入居者が家賃滞納するケースも珍しくなく、直接オーナーが督促したり、場合によっては退去を促したりと、難しい手続きが必要になることもあります。
これらの家賃対策として「家賃保証(サブリース)」が知られていますが、これも安易に飛びつくと大きな損害につなることがありますので慎重さが必要です。サブリースのリスクについては以下をご覧ください。


家賃保証(サブリース)のリスク

「サブリース」と呼ばれる家賃保証サービスがあります。サブリース事業者(不動産会社)が物件を一括借上げしてから、入居者に転貸借します。空室が発生しても家賃を保証してくれるので、不動産オーナーにとってはメリットばかりのように感じられますが、「保証料」や「家賃額」などの注意点もあります。

  • 事業者への保証料(手数料)がかかります。相場は家賃の1~2割で、入居者がいなくても(家賃収入がなくても)かかります。
  • 家賃額をオーナーが決められません。状況によっては、事業者側から家賃の値下げを要求されることがあります。

さらに、サブリースの契約内容は、事業者側に有利な形で作られていることが多いです。例えば、事業者が家賃を保証しなくてもよい「免責期間」があり、2~3か月程度を設けるのが一般的ですが、事業者によっては入退去期間も含めるケースもあります。契約のときに免責期間を確認することをおすすめします。

あと、契約内の「例外事項」によっては事業者側からの契約解除はできますが、オーナー側から解除するときは正当な理由または解約金が必要になるケースが多いです。または、契約内容をオーナーに有利な形で作れたとしても、今度は「借地借家法」と呼ばれる借主を守る法律によって、貸主有利の条項を無効化できる可能性があります。

でも、最大のリスクは事業者の倒産でしょう。2018年の「かぼちゃの馬車事件」が記憶に新しいですが、サブリース事業者の倒産によって投資者にも大きなダメージが及びます。家賃保証が無くなるばかりでなく、家賃の未回収が発生したり、入居者との再契約が必要になります。
上記のとおり、サブリース事業者の見極めが、いろんな意味で重要になります。


家賃下落のリスク

時間とともに物件は老朽化し、何も手を加えなければ、その価値はどんどん下がります。近隣にライバル物件が増えれば、家賃を値下げしないと入居してもらえない状況になると思います。前述のサブリース事業者から家賃の値下げを要求されるのは、おそらくこのような状況のときです。
大概の場合、経年劣化による家賃下落は不可避です。事前に修繕やリフォームの計画を立て、定期的に管理することで対処しましょう。


修繕・災害のリスク

不動産は経年劣化や自然災害などによって、修繕が必要になる場合があります。経年劣化に関しては事前に修繕計画を立て、定期的に管理することで対策できますが、自然災害は予想が困難であり、思わぬ出費が発生こともあるでしょう。予想外の出費が続けば、資金がショートすることもあります。このようなリスクに備えるためには、修繕費用や災害保険などの予算を用意し、資金管理をきちんと行うことが必要です。


建築予定地から遺跡

不動産投資においては周囲の環境にも注意が必要です。もし建築予定地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」である場合、遺跡や文化財が発見されるかもしれません。「周知の埋蔵文化財包蔵地」とは、埋蔵文化財を包蔵する地として周知されている土地のことです。もし建築中の土地から遺跡や文化財が見つかり、発掘調査が必要になれば、工事を中断しなければなりません。調査の内容によっては工事計画を大幅に遅らせなければならないこともあります。中断しているその間も借入金の利子は発生している訳ですから、不動産投資家にとっては損失と言わざるを得ません。

【02】親族間売買のリスク

親族間売買とは、親子間や兄弟間などで不動産の売買取引をすることです。売買によって不動産を渡せば贈与税がかからないため、節税対策として有効です。また、親が生前のうちに売買すれば、将来的に相続税が掛からないので、面倒な手続きが軽減できるというメリットもあります。
ただし、注意しなければならないこともありますので、以下に主なポイントを4つご紹介します。


売買価格が安すぎると贈与とみなされる

親族間であっても、不動産の売買は適正価格で取引することが原則です。適正価格よりも著しく安い価格で売買した場合、税務署から「みなし贈与」と判断される可能性があります。みなし贈与とは「贈与とみなす」という意味です。たとえ売買取引の形をとっていたとしても贈与と同様の利益を得たと判断されて贈与税が課せられます。
このようなことが無いように、親族間であっても、市場相場をちゃんと把握して、適正な範囲内で売買取引することが重要です。市場相場を把握するためには、不動産鑑定士の鑑定評価を受ける方法や、不動産会社に査定依頼する方法などがあります。一般的に時価の80%未満で売買すると、みなし贈与を疑われやすいと考えられているので、80%を一つの目安にするようにしましょう。


住宅ローンが利用しにくい

親族間での不動産売買では、住宅ローンを利用することが難しいのが現状です。売買価格が適正かどうかの判断が困難であることから、多くの銀行が親族間売買での住宅ローンを避ける傾向にあります。また、保証会社も親族間取引を認めていないケースが多いので、住宅ローンを組むのは非常に困難といえます。そのため、現金一括払いによって取引するか、比較的住宅ローンの審査に柔軟な地元の銀行、信用金庫、ノンバンクを利用するなど、工夫が必要になるでしょう。


税務上の特例が適用されない可能性がある

親族間で不動産売買するとき、税務上の特例が適用されない場合があります。特に影響が大きいものとしては「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」 があげられます。この特例を用いると、マイホームの売却益のうち3,000万円までが非課税になり、譲渡所得税や住民税の負担を減らすことができます。もし特例が適用できないと、売却益に対して約20~39%の税金がかかるため、高額な不動産を売却する場合に税金負担が大きくなってしまいます。

まとめ

今回ご紹介した「不動産にまつわる落とし穴」は氷山の一角です。現在、もし不安に思うことがあれば、お近くの不動産会社へ赴き、アドバイスを受けることをおすすめします。

もちろん、五條建設でもご質問をお受けいたしますので、お気軽にお声がけください。

 

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