不動産関連のコラム

知らないと損する固定資産税② ─ 改築・リフォーム予定の人は必見!

あるコトをすると固定資産税が高くなります。また、特例があることを知らなかったために税金を多く払ってしまうこともあります。今回の記事では、建て替えやリフォーム時の注意点や、使わないともったいない減税措置など、知らないと損をする固定資産税の制度についてご紹介します。

※前回記事の「知らないと損する固定資産税① ─ 減税措置・滞納リスク」もあわせてご覧ください

【01】固定資産税を上げてしまう行動とは?

始めに固定資産税を上げてしまう行動をご紹介します。ちょっと気を遣えば回避できたり、回避できなくても税金が高くなることをあらかじめ知っていれば、後々の準備に繋げられるので覚えていただきたい情報です。


解体は1月2日以降、売却は年末までに

固定資産税は、1月1日時点での所有者に課せられます。その時、土地の上に住宅が建っていれば「住宅用地の特例」が適用されて減税されます。たとえ1月2日に建物を解体して更地の状態になっても、その年の固定資産税は特例の対象となります。しかし年末に住宅を取り壊すと、翌年からは軽減措置の対象外となり、税額は最大6倍になります。建物の解体は1月2日以降がお勧めです。

逆に、不動産を売却する場合、年末までに処理を済ませれば余分な税金を支払わなくて済みます。もし物件の売却が1月2日になってしまうと、その年の固定資産税はきっちり全額を支払うことになります。(※日割り計算して、売主と買主で精算することもあります)

年末年始に解体や売却を考えている人は、ちょっと調整するだけで、支払う税額に大きな差が生じるのでお気をつけください。


大規模なリフォームにはご注意ください

一般的な住宅リフォームで固定資産税が上がるケースは稀ですが、建物の資産価値に大きな影響を与えるリフォームを実施すると、物件の価値が高まったと判断され、固定資産税が上昇することがあります。例えば、以下のようなリフォームがこれに該当します。

  • 開閉式の天窓
  • 床暖房
  • ビルトインエアコン
  • ホームエレベーター
  • タイル漆喰の外壁
  • ソーラーパネル一体型屋根(取り外しが可能な架台で設置するなら非課税)

また、建物を増築して床面積が増えれば基本的に固定資産税も上昇しますが、床面積が増えたことで特例の対象から外れてしまうこともあります。例えば、「新築の減税特例」や「長期優良住宅の減額措置」は、床面積が50㎡以上280㎡以下であることが要件なのでご注意ください。

【関連記事: 新築の減税特例/長期優良住宅の減額措置

【02】固定資産税を下げる方法とは?

次に、固定資産税を軽減する特例や措置についてご紹介します。


広い土地には集合住宅を

固定資産税が6分の1に軽減される「小規模住宅用地の特例」は、1戸あたり200㎡までの部分が適用されます。200㎡を超える広い土地を所有する場合は、アパートや賃貸併用住宅などの「集合住宅」を建築して「戸数」を増やせば、この特例を有効に活用することができます。
ただし、この特例は延べ面積でなく、1戸あたり200㎡までの広さに対して適用されます。例えば、200㎡以下の部屋が多数あるアパートであれば、延べ面積が200㎡を超える土地でも、すべての面積に対してこの特例が適用される可能性があります。

あと、アパートなどの集合住宅の建築は、一般住宅の要件と異なるので注意が必要です。例えば、「集合住宅の間口は、地域によっては4m以上」が必要になります。「一般住宅の間口2m以上」と混同しないようにお気をつけください。


特例対象のリフォームを市区町村で確認

下記5種類の住宅リフォーム工事のうち、減税できるものがあります。

  • 耐震化
  • バリアフリー
  • 省エネ
  • 同居対応
  • 長期優良住宅化

「耐震化」「バリアフリー」「省エネ」は、その言葉のとおり、いずれも住宅の性能にかかわる工事です。「省エネ」の具体例としては、窓の改修工事や断熱工事などが挙げられます。
「同居対応」とは、親・子・孫などの異なる世代で暮らしやすくするための工事です。例えば、トイレ、キッチンなどの増設工事がこれに該当します。
「長期優良住宅」は、耐震性や耐久性、省エネルギー性能、バリアフリーの性能が一定の基準を満たす高性能な住宅のことで、この認定を受けるための工事が減税の対象となります。


【出典: 長期優良住宅のページ(国土交通省のパンフレットより)

なお、減税の対象となるリフォームは、地域によって種類や制度の内容が異なります。実際にリフォームをするときは、減税の対象となるかどうか、お住まいの市区町村でご確認ください。(横浜市については次をご覧ください)

【03】横浜市の減税制度をご紹介

実際に横浜市で設けている減税制度を見ていきましょう。2023年5月現在、横浜市では固定資産税にかかわる減税制度として、以下の4種類を設けています。

❶【耐震改修工事を行った住宅に係る固定資産税・都市計画税の減額制度】

現行の耐震基準に適合させるための改修工事です。本制度を利用するためには、まず耐震診断を行い、耐震リフォームが必要かどうか確認しなければなりません。制度を適用できれば、耐震改修を行った家屋の固定資産税・都市計画税額の2分の1が、改修工事完了の翌年から2年間減額されます。

❷【バリアフリー改修工事を行った住宅に係る固定資産税の減額制度】

バリアフリー改修工事とは、高齢者や障害者などが暮らしやすい住宅にするための改修工事です。補助金などを除く自己負担が50万円を超えていて、さらに当該家屋の床面積が50㎡以上280㎡以下であることが要件になります。制度を適用できれば、改修工事が完了した翌年度の固定資産税額が3分の1に減額されます。ただし、床面積100㎡までの部分が減額対象で、100㎡を超える部分については減額されません。

❸【省エネ改修工事等を行った住宅に係る固定資産税・都市計画税の減額制度】

住宅の省エネ性能を上げるための改修工事が対象です。当該家屋の床面積が50㎡以上280㎡以下であることが要件です。省エネ改修工事の内容は、地域によってさまざまですが、横浜市においては窓の改修工事が必須です。床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事などもあわせて行えば減額対象となります。制度を適用できれば、改修工事が完了した年の翌年度分の固定資産税額および都市計画税額が3分の1に減額されます。

❹【サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額制度】

「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき認定された「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」の固定資産税を減額する制度です。制度を適用すれば、固定資産税が課される初年度から5年度分に限り、床面積120㎡までの部分の固定資産税額が3分の2に減額されます。なお、本制度の要件はやや複雑であるため、詳細は横浜市ホームページ「サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税の減額制度」にてご確認ください。

【出典: 家屋についての減額制度(横浜市のWEBサイト)

まとめ

固定資産税は金額が大きく、毎年支払うものなので、不動産の所有者にとって重い負担になります。しかし、固定資産税が上がるケース、下がるケースをそれぞれ把握して賢く行動すれば、負担を大きく減らすこともできます。
また、固定資産税は地方税なので、その地域特有の条例や特例制度などを把握することも重要です。
今回ご紹介したように、横浜市でも多くの減税制度を設けているので、制度の内容を把握して、節税対策に活かしてみてはいかがでしょうか。

 

上へ